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検定対策コラム

3級のツボ「関係代名詞と条件法」

高橋祥子
フィオレンツァ・マルケーズィ監修Le Ali 32号

実用イタリア語検定3級は、4級と比べて出題される文法事項も多岐に亘りますが、その中でも、比較的出題回数の多い関係代名詞と条件法を確認しましょう!

1. 関係代名詞※1

関係代名詞とは、文の中の特定の名詞に、それが「誰なのか」「何なのか」などの説明文をつなぐ働きをします。[名詞]+[関係代名詞]+[動詞]という文の構造において、名詞が、その後に続く動詞の主語、直接目的語、間接目的語のいずれに当たるかを考えるのが最大のポイントです。次の文は、関係代名詞を使ってAnnaが誰であるのかを説明しています。下線部に入る関係代名詞は何でしょう?

(1) Lei è Anna ______ lavora con me.
(彼女は、私と一緒に働いているアンナです)
(2) Lei è Anna ______ ho invitato a casa mia.
彼女は、私がうちに招待したアンナです)
(3) Lei è Anna ______ lavoro.
(彼女は、私が一緒に働いているアンナです)
(4) Lei è Anna ______ insegno il giapponese.
(彼女は、私が日本語を教えているアンナです)
(5) Lei è Anna ______ imparo l’italiano.
(彼女は、私がイタリア語を習っているアンナです)
(6) Lei è Anna ______ ti ho parlato ieri.
(彼女は、私が昨日あなたに話したアンナです)
(7) Lei è Anna ______ sono innamorato.
(彼女は、僕が恋をしているアンナです)
(8) Lei è Anna ______ ho molta fiducia.
(彼女は、私がとても信頼をおいているアンナです)
(9) Lei è Anna ______ conto molto.
(彼女は、私が頼りにしているアンナです)

【解答】(1)che(2)che(3)con cui(4)a cui(5)da cui(6)di cui(7)di cui(8)in cui(9)su cui

Annaと後に続く動詞との関係性を考えます。
(1) lavora con me「私と働いている」のはAnnaなので、Annaは動詞の主語。主語はcheでつなぐ。
(2) ho invitato「招待した」の主語は「私」誰を招待した?「Annaを」。よってAnnaは動詞の直接目的語。直接目的語もcheでつなぐ。cheは、名詞が動詞の主語か直接目的語にあたる時にしか使えません。(3)以下は、Annaが動詞の間接目的語になりますので、cheは使えず、「前置詞+cui」になります。
(3) lavoro「私は働いている」誰と?「Annaと」「と=con」なので、con cui。
(4) insegno「私は教えている」誰に?「Annaに」「に=a」なので、a cui。
(5) imparo「私は習っている」誰から?「Annaから」「から=da」なので、da cui。
(6) ho parlato「私は話した」誰について?「Annaについて」「について=di」なので、di cui。
(7) sono innamorato「私は恋している」誰に?「Annaに」essere innamorato di~「~に恋している」はdiを伴う熟語なので、di cui。
(8) ho fiducia「私は信頼をおいている」誰に?「Annaに」avere fiducia in~「~に信頼をおく」はinを伴う熟語なので、in cui。
(9) conto「私は頼りにしている」誰を?「Annaを」contare su~「~を頼りにする」はsuを伴う熟語なので、su cui。
(3)~(6)は、各前置詞の用法からどれを入れるべきか推測できますが、(7)~(9)は、常に決まった前置詞をとる熟語ですので、セットで覚えておくしかありません。
以上を踏まえると、次の問題はもうお分かりですね?

〈第49回2019年秋季〉
N32 La persona ______ ho chiesto di controllare il mio computer è un tecnico specializzato.
a) che b) di cui c) a cui d) per cui

ho chiesto di ~「私は~するようお願いした」誰に?「La personaに」。「~にお願いする」の「に」はaなので、c)a cui。なお、「前置詞+cui」の中で、aのみ省略できるので、答えの候補がcuiだけの可能性もあります。(下記「補足」参照)

2. 条件法過去※2

条件法過去の用法は、大きく分けて2つあります。
(1) 過去において実現しなかったこと、あるいは、これから先、実現しないと分かっていることを表す。
(2) 過去のある一点を起点にして、それより未来のこと(過去における未来)を表す。
検定では、特に(1)の「過去において実現しなかったこと」がよく出題されていますので、押さえておきましょう。
条件法過去の形は、「avereあるいはessereの条件法現在+過去分詞」。
「過去において実現しなかったこと」なので、「(本当は)~するところだった、~したかった、~すべきだった」という内容になり、多くの場合、その後に「でも~しなかった、~できなかった」という文が続きます。

Sarei dovuto andare dal dentista, ma non avevo tempo.
(歯医者に行かなければいけなかったのだけど、時間がなかった)
後に「でも……」という文が続かなくても、条件法過去を使うことで、実際にはそうしなかったことが言外に分かります。
Avresti dovuto mettere meno zucchero.
(砂糖をもっと少なくするべきだったね)
Da giovane mi sarebbe piaciuto vivere all’estero.
(若い頃、外国に住んでみたかった)

また、al posto tuo/mio「あなたの/私の立場だったら」という決まった表現の後は、必ず条件法になります。
Al posto tuo non gliel’avrei detto.
(あなたの立場だったら、私は彼にそのことを言わなかっただろう)

〈第49回2019年秋季〉
N40 Ti ______ volentieri una mano per il trasloco, ma ieri sono stato occupato tutto il giorno.
a) darei b) ho dato c) avrei dato d) avevo dato

「引越しのために、喜んで君に手を _____、でも昨日は一日中忙しかった」という意味が取れれば、_____は、(手を)貸すところだった(が、実際には貸せなかった)」よって条件法過去c) avrei datoであることが分かります。

※伊検事務局からの補足:高橋先生の例文では関係代名詞に焦点を当てるために極めて簡潔化した表現となっていますが、書き言葉として表記する場合は以下のように記述するのが望ましいです。

(1) Lei è Anna, l’amica che lavora con me.
(彼女は、私と一緒に働いている友人、アンナです)
(2) Lei è Anna, l’amica che ho invitato a casa mia.
(彼女は、私がうちに招待した友人、アンナです)
(3) Lei è Anna, la signora con cui lavoro.
(彼女は、私が一緒に働いている婦人、アンナです)
(4) Lei è Anna, la ragazza a cui insegno il giapponese.
(彼女は、私が日本語を教えている女の子、アンナです)
(5) Lei è Anna, l’insegnante da cui imparo l’italiano.
(彼女は、私がイタリア語を習っている教師、アンナです)
(6) Lei è Anna, la studentessa di cui ti ho parlato ieri.
(彼女は、私が昨日あなたに話した学生、アンナです)
(7) Lei è Anna, la donna di cui sono innamorato.
(彼女は、僕が恋をしている女性、アンナです)
(8) Lei è Anna, l’amica in cui ho molta fiducia.
(彼女は、私がとても信頼をおいている友人、アンナです)
(9) Lei è Anna, la collega su cui conto molto.
(彼女は、私が頼りにしている同僚、アンナです)

(今回の検定対策コラムは『イタリア語文法 これが知りたかった! 入門・初級&中級・上級』(フィオレンツァ・マルケーズィ監修、デザインエッグ社、Amazonでオンデマンド販売))の著者、高橋祥子先生に執筆していただきました)
※1 ※2中級・上級の第24、31課に詳しい解説が出ていますので、ご活用下さい。

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