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検定対策コラム

メディアを活かしたイタリア語検定学習術

Le Ali 24号

 インターネットが普及してから、外国語の学習方法は大きく変化しました。以前は、現地のニュースをその土地の言語で読むのに日数を要していましたが、今ではリアルタイムに、しかも無料で情報を得ることができます。「留学をしていないから語学力がない」と言うのはもはや言い訳にしかなりません。インターネットがあれば現地と同じ世界を味わえるのですから、イタリア語検定試験の対策の一環としてもこれを最大限に利用しない手はありません。

 イタリアは、TV局や新聞社のインターネット・サービスが日本以上に充実しています。中でもテレビ・ラジオ局の『Rai』のアプリケーションの充実度は目を見張るものがあり、iPhone用アプリは28ものタイトルを備えています。一部著作権の問題で視聴できないものもありますが、ニュースやトーク番組などをスマホにダウンロードして視聴・聴取することが可能です。毎年2月に5日間に渡って開催されるイタリアのポピュラー音楽の祭典『Festival di Sanremo(サンレモ音楽祭)』も現地で放送された翌日には、『Rai』のHPやアプリなどで配信されるので、日本にいながら現地の熱狂ぶりを体感できることでしょう。

 それから、日刊紙『La Repubblica』のモバイル版HPでは、ユーザー登録を行えば、記事を保存(SALVA)できる便利な機能が付いており、「後でじっくり時間をかけて読みたい」というような記事を保管しておくことができます。また、イタリアン・ポップスが大好きという方には『Radio Italia』がお薦めです。こちらは、24時間、イタリアの音楽だけが流れているので、音楽を通じてイタリア語を学べるのではないでしょうか。

 イタリア語について疑問が湧いたときもインターネットを活用すればすぐに答えを得ることができます。例えば今夏、世界を混乱に陥れた『英国のEU離脱』。イタリア語も英語と同じように、これを意味する単語はBritain(英国)とexit(退出)を組み合わせた造語である『Brexit』が使われていますが、イタリア語には男性形と女性形があるため、この単語がどちらに属するのかが疑問になるところです。実際、検索バーに「Brexit; maschile o femminile?(Brexitは男性形、女性形?)」などと入力すると、こちらも答えがすぐに導きだされました。多くの人が疑問に抱いていたようで、『Il Messaggero』紙の記事になっていました。一般的に外来語は男性形という規則がありますが、e-mailのように女性形のようなイレギュラーなケースがあります。それは、mailを意味するイタリア語がletteraであることから女性形ということになりますが、同紙には「『Brexit』はexitを意味するイタリア語がuscitaであるために女性形であるという解釈に至っている」と記されていました。上記のように疑問がすぐに解消されない場合には、参加者同士で様々な疑問を解決し合う電子掲示板『Yahoo! 知恵袋』のイタリア語版『Yahoo! Answers』もあるので、これを利用すると良いでしょう。きっと、親切なユーザーが納得のいく答えを出してくれるはずです。なお、イタリア語で情報を探す場合には、GoogleやYahoo!の地域設定をイタリアに変えて検索するとより多くの検索結果が得られます(*)。

 外国語を勉強するにあたっては、文法を学んだり、単語を暗記するだけでなく、その国の文化や人々のメンタリティーを知ることも重要です。「なかなかイタリアに旅行する機会もないし……」という方にお薦めしたいのが、現地のドラマを見ることです。イタリアのドラマが日本の地上波で放送されることはまずありませんが、有料放送の『AXNミステリー』では、イタリアの人気番組が視聴できます。これまでに『Il commissario Montalbano(モンタルバーノ~シチリアの人情刑事)』や『Don Matteo(マッテオ神父の事件簿)』などが放送されており、前者は今春、現地での放送で視聴占拠率40%を記録、後者はシリーズ10回を数えるいずれも超人気番組です。日本の放送ではどちらも吹き替えではなく、日本語字幕が付いているので、イタリア語学習者にとっては有り難い仕様になっています。もっとも『Il commissario Montalbano』は舞台となっているシチリアの方言が頻繁に使われているので、セリフを耳で解釈することは困難。先ずはイタリアの雰囲気を感じ取ってください。ドラマをネタにイタリア人との会話も一層弾むことは間違いないでしょう。

 そして、紙媒体からはネットでは得られない濃い情報を得ることが可能です。フリーマガジンの『イタリア好き』には、食に関するレポートや味わい深いエッセイと秀逸な写真が収載されています。また、日伊協会発行の会報誌『CRONACA』には、最新のイタリア情報が満載。政治情勢から最近の流行まで幅広い情報が掲載されています。文法を学び単語を覚えることは試験対策の上で不可欠ですが、様々なメディアを活用して現地の情報を得ることも重要な学習の一つです。みなさんも自分なりの学習方法を模索してみてください。

(*)Googleのトップページで「設定」をクリック。「検索オプション」の「言語」と「地域」をイタリア語、イタリアに設定。

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